空調設備の出題傾向
空調設備は1級管工事施工管理技士一次検定において最も出題数が多い分野のひとつです。例年10〜15問程度が出題されており、この分野の得点が合否を左右することも少なくありません。
✅ 空調設備攻略の3原則
- 「最も不適当なもの」を選ぶ問題形式に慣れる。正解を覚えるより引っかけパターンを押さえる方が効率的。
- 比較表で覚える。CAV vs VAV、FD vs SD、第1〜3種換気など「A vs B」の対比が頻出。
- 数値を正確に覚える。湿球温度・合格ライン・フロートの関係など数値問題が多い。
空調方式の比較(CAV・VAV・FCU)
空調方式の問題は毎年必ず出題されます。各方式の制御方法と特徴の違いを整理しておくことが重要です。
| 方式 | 制御の仕方 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| CAV(定風量単一ダクト) | 送風量一定・温度で制御 | シンプルで信頼性高い。個別制御には不向き |
| VAV(変風量) | 送風量を変化させて制御 | 個別制御・省エネ◎。ダクト設計が複雑 |
| FCU(ファンコイルユニット) | 各室のコイルで制御 | 個別制御容易。各室への水配管が必要 |
| 外気冷房 | 外気が室内より低温の時に活用 | 冬季・中間期の省エネに有効 |
⚠️ 頻出引っかけ
「CAVは個別制御に優れる」→ 誤り。個別制御が得意なのはVAYやFCU。CAVは全体一括制御。
冷凍機・ヒートポンプ
冷凍サイクルの順序と各冷凍機の特徴、COP(成績係数)の概念が頻出です。
冷凍サイクルの順序
冷凍サイクルは「蒸発→圧縮→凝縮→膨張」の順です。「蒸圧凝膨」と語呂で覚えておきましょう。
| 冷凍機の種類 | 圧縮方式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 遠心(ターボ)冷凍機 | インペラ回転 | 大容量向き。部分負荷効率に注意 |
| 吸収式冷凍機 | 圧縮機なし・熱利用 | 電力消費少・廃熱利用に最適 |
| スクロール冷凍機 | 渦巻きスクロール | 小〜中容量・振動少・高効率 |
| スクリュー冷凍機 | 雄雌ロータ回転 | 中〜大容量・信頼性高い |
⚠️ COPの引っかけ
「冷水温度を低く設定するほどCOPが向上する」→ 誤り。冷水温度を高めに設定するほどCOPが向上します。また、ヒートポンプの暖房COPは大気熱を汲み上げるため必ず1以上になります。
ダクト・ダンパー
ダンパーの種類と作動トリガーの混同が試験の定番引っかけです。特にFDとSDの違いは確実に押さえてください。
| 種類 | 略称 | 作動トリガー | 目的 |
|---|---|---|---|
| 防火ダンパー | FD | 温度ヒューズ溶断(火災の熱) | 延焼防止 |
| 防煙ダンパー | SD | 煙感知器の信号 | 煙の拡散防止 |
| 防火防煙ダンパー | SFD | 温度ヒューズ+煙感知器 | 両方の機能 |
⚠️ 頻出引っかけ
「FDは煙感知器の信号で閉まる」→ 誤り。FDは温度ヒューズ。煙感知器で閉まるのはSD。この2つの混同が最頻出の引っかけです。
換気設備(第1〜3種)
換気方式の種別と適用場所の組み合わせが頻出です。特に第2種をトイレに使えない理由が問われます。
| 種別 | 給気 | 排気 | 室内圧力 | 適用例 |
|---|---|---|---|---|
| 第1種 | 機械 | 機械 | コントロール可 | 大規模ビル全般 |
| 第2種 | 機械 | 自然 | 正圧(+) | クリーンルーム・手術室 |
| 第3種 | 自然 | 機械 | 負圧(−) | トイレ・浴室・厨房 |
⚠️ 頻出引っかけ
「第2種換気はトイレに適している」→ 誤り。第2種は正圧のため臭気が外に漏れやすい。トイレには第3種(負圧)が正解。
冷却塔・冷媒
冷却塔のポイント
冷却塔は水の蒸発潜熱を利用して冷却するため、冷却能力は外気の湿球温度に依存します。「乾球温度のみに依存する」という選択肢は誤りです。
また、レジオネラ菌対策のために定期的な水質管理が必須です。蒸発による不純物の濃縮を防ぐためのブロー(排水)管理も重要なポイントです。
冷媒の環境性能
| 冷媒 | ODP | GWP | 備考 |
|---|---|---|---|
| R22(HCFC) | あり | 中 | フロン規制により段階廃止 |
| R410A(HFC) | なし | 高 | R22の代替として普及。次世代へ移行中 |
| CO₂(R744) | なし | 1(非常に低い) | 自然冷媒。高圧対応設備が必要 |
⚠️ 頻出引っかけ
「CO₂(R744)はGWPが非常に高い」→ 誤り。GWP=1で自然冷媒の中でも環境負荷が最も低い部類です。CO₂=温暖化というイメージからの引っかけです。
省エネルギー(全熱交換器・インバーター)
全熱交換器と顕熱交換器の違い
全熱交換器は排気の顕熱(温度)と潜熱(湿気)の両方を回収して外気処理負荷を削減します。「顕熱のみを回収する」は誤りで、それは顕熱交換器の説明です。
インバーター制御の省エネ効果
ポンプ・ファンのインバーター制御は大きな省エネ効果があります。動力は回転数の3乗に比例するため、わずかな回転数の低下が大幅な省エネにつながります。
氷蓄熱システム
夜間電力で氷を作り昼間のピーク電力を削減するシステムです。水の融解潜熱(約335kJ/kg)を利用するため、水蓄熱より小さな槽で同じ蓄熱量を確保できます。
空調設備の頻出引っかけ一覧
試験で特に注意が必要な引っかけパターンをまとめました。これらをすべて覚えるだけで空調設備の得点が大幅に上がります。
「CAVは個別制御に優れる」→ 誤り。個別制御はVAYやFCU。
「冷水温度を低くするほどCOPが向上する」→ 誤り。高めに設定するほど向上。
「FDは煙感知器の信号で閉まる」→ 誤り。FDは温度ヒューズ。SDが煙感知器。
「第2種換気はトイレに適している」→ 誤り。正圧のため臭気が漏れる。トイレは第3種。
「冷却塔の冷却能力は乾球温度のみに依存する」→ 誤り。湿球温度に依存する。
「CO₂(R744)はGWPが非常に高い」→ 誤り。GWP=1で非常に低い。
「全熱交換器は顕熱のみを回収する」→ 誤り。顕熱+潜熱の両方を回収する。
「加熱すると絶対湿度が増加する」→ 誤り。加熱で変わるのは相対湿度(低下)。絶対湿度は変わらない。