🔵 空調設備 補習シリーズ:
🔵 空調設備 補習マンガ — 第3回 / 全3回【最終回】

冷媒・省エネ・
自動制御
深掘り解説

補習シリーズ最終回 — 環境規制・省エネ計算・自動制御まで完全制覇

冷媒GWPと規制 フロン法の実務 インバーター省エネ計算 BEMS・BAS PID制御の詳細 エネルギー管理
🏆
補習シリーズ最終回!この回を完走すれば空調設備は完璧だ! 第1回・第2回を未読の場合は先に読んでおくことをおすすめする。
01冷媒の種類とGWP・ODP
02フロン排出抑制法の実務
03インバーター制御の省エネ計算
04省エネルギー法と建築物
05BEMS・BASの役割
06PID制御の深掘り
07湿り空気線図の読み方
08空調設備 総まとめ
01
SECTION 01
冷媒の種類とGWP・ODP深掘り
❄️
REFRIGERANT CLASS
パイプ訓練生
パイプ
訓練生
😰 パイプ訓練生CO₂冷媒ってGWPが高そうなイメージがあるんですが……
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹CO₂のGWPは1だ!基準値そのものだ!GWPはCO₂を1として相対評価するから当然だ!R410Aとは全然違うぞ!!
❄️ 主要冷媒の比較
R22(HCFC)
ODP あり 段階廃止
GWP:約1,810
塩素含有→オゾン層破壊
モントリオール議定書で規制・廃止済み
R410A(HFC)
ODP ゼロ GWP 高
GWP:約2,090(非常に高い)
塩素なし→オゾン層に安全
R22の代替として普及。次世代冷媒へ移行中
R32(HFC)
ODP ゼロ GWP 低め
GWP:約675
R410Aより大幅にGWP低減
現在の家庭用エアコン主流
R744(CO₂)
ODP ゼロ GWP=1
GWP:1(最低)
自然冷媒・環境負荷最小
高圧対応設備が必要。ヒートポンプ給湯器等
R717(アンモニア)
ODP ゼロ GWP ゼロ
GWP:0
自然冷媒・冷凍効率高
毒性・可燃性あり。食品冷凍倉庫等の大型施設向け
R1234yf・R1234ze(HFO)
ODP ゼロ GWP 超低
GWP:4以下
次世代フッ素系冷媒
自動車用エアコン・大型冷凍機向けに普及拡大中
🔴 深掘りポイント:ODPとGWPの違い

ODP(オゾン破壊係数):オゾン層への影響度。R11を1として相対評価。塩素・臭素を含む冷媒が問題。HFCはODP=0。
GWP(地球温暖化係数):温暖化への影響度。CO₂を1として相対評価。HFCはODPゼロだがGWPが非常に高い。「ODPゼロなら環境にやさしい」は誤り。

「CO₂(R744)はGWPが非常に高い」→ 誤り。CO₂のGWP=1(基準値)。高GWPなのはR410A(約2,090)やR22(約1,810)。
02
SECTION 02
フロン排出抑制法の実務深掘り
📋
FRON LAW
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹フロン排出抑制法で定期点検が義務付けられている対象は何だ!!
😰 パイプ訓練生エアコン全般……ですか?家庭用も含まれますか?
🔧 スパナ軍曹業務用のみだ!家庭用エアコンは対象外!「第一種特定製品」つまり業務用の空調・冷凍冷蔵機器が対象だぞ!!
📋 フロン排出抑制法の要点
項目内容注意点
対象機器第一種特定製品(業務用エアコン・業務用冷凍冷蔵機器)家庭用エアコンは対象外
簡易点検3ヶ月に1回(使用者が実施)目視確認・異常の有無を記録
定期点検(小)圧縮機出力7.5kW以上50kW未満3年に1回有資格者(第一種フロン取扱技術者等)が実施
定期点検(大)圧縮機出力50kW以上1年に1回有資格者が実施。記録・保存義務
冷媒充填第一種フロン類充填回収業者が実施無資格者による充填は禁止
機器廃棄時フロン類の回収が義務回収せずに廃棄は違法
「フロン排出抑制法は家庭用エアコンにも業務用と同様の点検義務がある」→ 誤り。対象は業務用(第一種特定製品)のみ。家庭用は対象外。
03
SECTION 03
インバーター制御の省エネ計算深掘り
ENERGY SAVING LAB
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹送風機の風量を80%に落としたとき消費電力は何%になるか計算してみろ!!
😰 パイプ訓練生80%に落とすから……消費電力も80%になる……?
🔧 スパナ軍曹甘い!動力は回転数の3乗だ!0.8の3乗は0.512!つまり約51%まで削減できる!インバーターの威力はそこだ!!
⚡ インバーター制御の省エネ効果
相似則(ファンの法則):
 風量 Q ∝ 回転数 N
 静圧 P ∝ N²(回転数の2乗)
 動力 L ∝ N³(回転数の3乗

例:風量を80%に制御 → 動力 = 0.8³ = 0.512 → 約49%削減
風量100%(全開)
100%
100%
風量90%
72.9%
72.9%
風量80%
51.2%
51.2%
風量70%
34.3%
34.3%
風量60%
21.6%
21.6%
「風量を半分にすると消費電力も半分になる」→ 誤り。動力は回転数の3乗に比例するため、風量50%では動力は12.5%(0.5³)まで削減できる。
04
SECTION 04
省エネルギー法と建築物への適用深掘り
🏢
ENERGY LAW
パイプ訓練生
パイプ
訓練生
😰 パイプ訓練生省エネ法って工場だけが対象じゃないんですか……?
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹違う!建築物にも適用される!一定規模以上のビル・商業施設の管理者にも省エネ義務がある!「工場のみ」は定番の引っかけだぞ!!
🏢 省エネルギー法(建築物への適用)
🏗️特定建築物:延べ面積2,000m²以上の非住宅建築物。省エネ措置の届出義務あり。
📊エネルギー管理指定工場:年間エネルギー使用量1,500kL以上(原油換算)の工場・ビルは「第一種エネルギー管理指定工場」となり、エネルギー管理士の選任が義務。
📋定期報告義務:特定事業者は毎年エネルギー使用量を国に報告する義務がある。
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度):建築物の省エネ性能を星の数(1〜5)で表示する制度。
「省エネルギー法は製造業の工場にのみ適用される」→ 誤り。建築物(ビル・商業施設・学校など)にも適用される。
05
SECTION 05
BEMS・BASの役割と違い深掘り
🖥️
BUILDING SYSTEM
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹BEMSとBASの違いを説明できるか!!
😰 パイプ訓練生BASはビルの設備を自動制御するシステムで……BEMSはエネルギーを管理するシステム……ですか?
🔧 スパナ軍曹正解だ!BASは制御、BEMSは管理・分析だ!BEMSはBASのデータを使ってエネルギーを可視化・最適化するぞ!
🖥️ BEMS・BAS・その他システムの比較
システム正式名称役割
BAS Building Automation System 空調・照明・防災設備などを自動制御する。設定値通りに機器を動かす「制御」が主目的
BEMS Building Energy Management System エネルギー使用量を計測・分析・最適化する。BASのデータを活用して省エネを図る「管理」が主目的
FEMS Factory Energy Management System 工場版のEMS。製造プロセスのエネルギー管理
HEMS Home Energy Management System 家庭版のEMS。太陽光・蓄電池・家電の統合管理
🔴 深掘りポイント:BEMSの具体的な機能

BEMSの主な機能:①エネルギー使用量の見える化(用途別・時間帯別)②デマンド制御(最大需要電力の抑制)③最適起動停止制御(空調の運転開始・停止時刻の自動最適化)④異常検知(通常より消費が多い機器を検出)。

「BEMSは建物の設備を自動制御するシステムである」→ 誤り。自動制御はBAS。BEMSはエネルギーの管理・分析・最適化が主目的。
06
SECTION 06
PID制御の深掘り深掘り
🎛️
CONTROL ROOM
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹P制御(比例制御)だけだとオフセットが残る理由を説明できるか!!
😰 パイプ訓練生オフセット……?目標値に完全に一致しないってことですか?
🔧 スパナ軍曹そうだ!P制御は偏差に比例した操作量しか出せない!偏差がゼロに近づくと操作量も小さくなり完全一致できない!だから積分(I)が必要なんだ!!
🎛️ PID制御の各動作の役割
動作概要特徴・問題点
P(比例)動作 偏差に比例した操作量を出力 オフセット(定常偏差)が残る。応答は速い。単独では目標値に完全一致しない
I(積分)動作 偏差を積分して累積偏差に比例した操作量を追加 オフセットを解消できる。ただし応答が遅れハンチング(振動)を起こしやすい
D(微分)動作 偏差の変化速度に比例した操作量を追加 急激な変化に素早く対応。ノイズに敏感なため単独では使用しない
PID(組み合わせ) P+I+Dの組み合わせ 最もよく使われる制御方式。空調の温度・湿度制御に標準的に採用
🔴 深掘りポイント:オン・オフ制御との違い

オン・オフ制御は最もシンプルだが、目標値付近でオン・オフを繰り返すハンチングが発生しやすい。精密な温湿度管理が必要な空調にはPID制御が必須。「オン・オフ制御は高精度な制御に最適」は誤り。

「P制御(比例制御)だけで目標値に完全一致できる」→ 誤り。P制御のみではオフセット(定常偏差)が残る。オフセットを解消するにはI(積分)動作が必要。
07
SECTION 07
湿り空気線図の読み方深掘り
📊
PSYCHRO CHART
パイプ訓練生
パイプ
訓練生
😰 パイプ訓練生空気を加熱したら相対湿度が変わるのに、絶対湿度は変わらないのはなぜですか?
スパナ軍曹
スパナ
軍曹
🔧 スパナ軍曹加熱しても水分量は変わらないからだ!絶対湿度は空気1kgあたりの水分量だ!加熱で増えるのは「飽和水蒸気量」だから相対湿度(割合)だけが下がる!!
📊 湿り空気の各変化と絶対湿度・相対湿度の関係
空気の変化絶対湿度相対湿度ポイント
加熱(温度↑)変化なし低下飽和水蒸気量↑→相対湿度↓
冷却(温度↓)変化なし(露点以上の場合)上昇露点以下では結露→絶対湿度も低下
加湿(水分添加)増加上昇水分量が増える
除湿(冷却除湿)低下制御可能冷却→結露→水分除去→再加熱
🌡️乾球温度:通常の温度計で測定する温度。空気の感覚的な温度。
💧湿球温度:湿らせた布を巻いた温度計で測定。蒸発冷却の効果で乾球温度より低い。冷却塔の冷却能力は湿球温度に依存
🌫️露点温度:その空気が飽和(相対湿度100%)に達する温度。これ以下に冷やすと結露が発生。
「空気を加熱すると絶対湿度が増加する」→ 誤り。加熱しても水分量(絶対湿度)は変わらない。変化するのは相対湿度(低下)。
08
FINAL SECTION
空調設備 補習シリーズ 総まとめ🏆 最終回
🎖️
スパナ軍曹
よくやった!3回シリーズを完走したぞ!これで空調設備は完璧だ!あとは演習問題で本番に備えろ!!
パイプ訓練生
ありがとうございます!3回全部終えて空調設備への自信がつきました!絶対合格します!!
🎖️ 補習シリーズ3回の頻出引っかけ 総集編
1️⃣VAVは静圧管理が必要(「不要」は誤り)。インバーター制御で静圧を一定に保つ。
2️⃣冷水温度を高く設定するほどCOPが向上(「低く」は誤り)。
3️⃣吸収式冷凍機の冷媒は水(H₂O)、吸収剤はLiBr(フロンではない)。
4️⃣氷蓄熱は水蓄熱より蓄熱槽が小さくて済む(融解潜熱を利用)。
5️⃣FDは温度ヒューズ(72℃)、SDは煙感知器で作動(逆は誤り)。
6️⃣全熱交換器はトイレ・厨房の排気系統に使用不可(臭気混入リスク)。
7️⃣クリーンルームは正圧管理(感染症病室は負圧)。
8️⃣CO₂(R744)のGWP=1(高いのはR410Aの約2,090)。
9️⃣フロン排出抑制法の対象は業務用のみ(家庭用は対象外)。
🔟送風機の動力は風量の3乗に比例(風量80%→動力51%)。
BASは自動制御、BEMSはエネルギー管理・分析(混同注意)。
P制御のみではオフセットが残る。解消にはI(積分)動作が必要。
加熱しても絶対湿度は変わらない(変化するのは相対湿度)。
🏆 補習シリーズ 全3回 完全制覇!!
🎉 空調設備 補習シリーズ 完走!
第1回(空調方式・熱源機器)→ 第2回(ダクト・換気・防火防煙)→ 第3回(冷媒・省エネ・自動制御)を完走した。 あとは演習問題で実力を確かめるだけだ。他の分野の補習も続けていこう。
🏆 空調設備 完全制覇!次の分野へ

空調設備の演習問題で最終確認をしてから、他の分野も攻略しよう。

📝 空調設備 演習問題を解く 🎯 総合確認問題